高齢妊娠を迎える方へ:安心に過ごすための準備と重要な注意点

近年、結婚年齢の上昇や仕事との両立を考える中で、35 歳以上で妊娠・出産をする「高齢妊娠」の方が増えています。最初に「高齢」という言葉を聞くと、「体に負担がかかるのでは?」「何かトラブルが起きるのでは?」と不安に感じる方も少なくありません。そんな方の不安を少しでも和らげるため、高齢妊娠で知っておくと良い準備方法や孕期の注意点、産後のケアについて、身近な話し方でまとめていきます。
Mature couple holding hands at a doctors office. Doctor can be seen in the background.

妊娠前:高齢妊娠に向けた「体作り」のポイント​

高齢妊娠では、事前に体調を整えることが、安心して孕期を過ごすための第一歩です。急いで妊娠しようとするより、ゆっくりと準備を進めるのが良いでしょう。​

まずは「定期的な健康診断を受ける」ことです。婦人科では、月経周期の規則性や卵巣の状態をチェックしてもらうとともに、甲状腺機能や血糖値、貧血の有無なども調べましょう。高齢になると、甲状腺機能が低下したり血糖値が高くなったりする傾向があり、これらが妊娠を難しくしたり孕期のトラブルの原因になったりすることがあるため、早めに確認して対策を講じるのが大切です。​

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次に「栄養のバランスを整える」ことです。特に葉酸は、胎児の神経管欠損を予防するために重要で、妊娠前 3 ヶ月から摂取を始めることが推奨されています。葉酸を多く含む食材(ほうれん草、ひじき、レモンなど)を日常的に食べる他、婦人科医から処方されるサプリメントも活用しましょう。また、タンパク質(鶏肉、魚、大豆製品)や鉄分(赤身肉、ひまわりの種)も不足しやすいので、バランス良い食事を心がけます。​

それから「生活習慣の見直し」も不可欠です。喫煙や飲酒は胎児への悪影響が大きいため、妊娠を計画する時点で止める必要があります。睡眠不足もホルモンバランスを崩す原因になるので、毎日 7~8 時間の睡眠を確保しましょう。さらに、過度なストレスは排卵を不規則にすることもあるので、散歩やヨガなどの軽い運動でリラックスする時間を作ると良いです。私の友人も 38 歳で妊娠したのですが、妊娠前から毎朝 30 分散歩する習慣をつけたことで、ストレスが減り、周期も安定したそうです。​

孕期:高齢妊娠で特に注意すべきチェックと体調管理​

妊娠が確認できたら、定期的な産科検査に通うことはもちろん、高齢妊娠に特有のリスクにも注意して体調を管理しましょう。​

定期検査の内容と受け方​

高齢妊娠では、一般的な妊婦さんよりも詳しい検査が推奨されることが多いです。例えば、胎児の染色体異常をチェックする「NIPT(胎児無細胞 DNA 検査)」や「羊水検査」、胎児の器官形成を確認する「詳細超音波検査(20 週頃)」などです。これらの検査については、医師がリスクとメリットを詳しく説明してくれるので、自分の状況を踏まえて冷静に判断しましょう。​

また、高齢妊娠では高血圧や妊娠糖尿病になるリスクが高まるため、定期的に血圧と血糖値を測定することも重要です。特に妊娠中期以降、食事の量や種類に注意し、過度な体重増加を避けましょう。医師から「塩分を控えてください」「糖分の多い食べ物を減らしてください」とアドバイスがあったら、しっかりと従うことでトラブルを防げます。​

体調の変化に敏感に対応する​

高齢妊娠では、疲労感や腰の痛みが強くなることがあります。その場合は無理せず休むことが大事です。例えば、家事をしていて腰が疲れたら、すぐにソファに座って脚を少し高くして休み、温かいお湯を飲むと緩和できます。​

また、以下の症状が出た場合は、即座に産科医に連絡する必要があります。​

出血や水様のものが漏れる​

強い腹痛が続く​

胎動が突然少なくなる​

急に頭が痛くなったり、目が回ったりする​

これらは緊急事態の可能性もあるため、慌てずに医師に相談することが最も安全です。​

適度な運動で体力を維持​

孕期の運動は、出産時の体力をつけたり、便秘やむくみを改善したりするのに役立ちます。高齢妊娠の方は、ジョギングや激しいスポーツは避け、「妊婦ヨガ」「スイミング(水泳)」「ウォーキング(散歩)」などの低負荷な運動がおすすめです。​

運動する際は、「体に負担がかからない範囲」で行い、汗をかいたらすぐに水分を補給しましょう。私の妹は 40 歳で第二子を妊娠した時、毎週 2 回妊婦ヨガのクラスに通い、出産時にも体力が持ち、スムーズに出産できたそうです。ただし、運動を始める前には必ず医師に相談し、自分の体調に合った内容を選ぶことが大切です。​

産後:高齢妊娠の方に必要なケアと心のケア​

出産が終わったら、母体を回復させるためのケアが欠かせません。高齢の方は体の回復が少し遅くなることがあるので、ゆっくりと休養を取り、周りの人のサポートも積極的に受け入れましょう。​

体の回復を優先する​

産後は、子宮の収縮や切開創(帝王切開をした場合)の治癒を待つため、充分な睡眠と栄養を確保します。特に母乳を育てる方は、タンパク質や水分の摂取量を増やす必要があります。例えば、朝は味噌汁と卵料理、昼は魚介類の煮付けとご飯、夕は鶏肉のスープなど、柔らかくて消化しやすい食事を心がけましょう。​

また、産後 1 ヶ月以内は激しい家事や運動を避け、ゆっくりと体を動かすだけにします。おむつを替えたり、赤ちゃんを抱いたりする際は、腰に負担がかからないように姿势に注意し、必要ならば夫や家族に手伝ってもらいます。​

心の健康も忘れずに​

高齢で出産する方は、「赤ちゃんを育てる体力があるか?」「仕事と育児を両立できるか?」といった不安から、産後うつになるリスクも高くなります。そのため、気持ちが落ち込んだり、毎日がつらく感じたりした場合は、夫や親、友人に話しかけることをためらわずにしましょう。​

また、地域の「母子保健教室」や「高齢妊婦サポートグループ」に参加すると、同年代のママ友と交流でき、不安を共有することで心が軽くなることもあります。もし、長期間気分が回復しない場合は、専門のカウンセラーや医師に相談することも重要です。​

まとめ:高齢妊娠は「準備」と「サポート」で安心して迎えられる​

高齢妊娠には、一般的な妊娠に比べて少し多くの注意点があるかもしれませんが、事前の体作り、孕期のきめ細かい検査と体調管理、産後の充分な休養を心がければ、安心して赤ちゃんを迎えることができます。​

「年齢が高いから無理だ」と思う前に、まずは婦人科医に相談し、自分の体の状況を把握することから始めましょう。周りの人のサポートも得ながら、ゆっくりと自分のペースで準備を進めれば、きっと幸せな出産体験をすることができるでしょう。